美容師としての勝負とは?
『絶対に負けられない戦いがそこにある』
このコピーはサッカー日本代表のキャッチコピーとして使われていますがこのコピーって本当にすごいと思います。
サッカーというプロスポーツの公式でよく耳に聞きますが、正直日本のサッカー代表は世界と比べて強い方ではありません。
しかしこの強気なコピー。
何故このようなコピーとなったのか。
【負けられない戦い】という意味はそこに「応援してくれてるサポーターを裏切らないためにも」と僕は解釈をしています。
そう、応援してくれる人がいるから負けられない。
とても素敵な勝負の世界。そんな勝負の世界について美容師である僕が考えてみたことです。
美容師としての勝負①お客様編
美容師は接客業であり技術職です。
またお客様がいるからこそ成り立つお仕事の1つ。どんなに優れた技術や接客力を持っていようともお客様が来ない限り僕らの利益にもなにもなりません。
だからお客様をとても大切にしているのです。
しかし大切にしているとしても間違った方向に行ってしまう時があります。
例えばこのような会話が美容室で行われることもあるでしょう。
お客様「朝巻くのが大変だからパーマかけたいんだけどお願いできます?」
美容師「お客様の場合は髪が傷んでいるのでパーマをかけることは出来ません。また傷んでいるのでコテで巻くのも控えてください。」
お客様「えー?巻くのもダメなの?嫌だなあ。」
美容師「髪を綺麗にするためです。お願いします。」
ここでの会話は美容室でもありそうですがこの会話の何がいけなかったでしょうか?
それは
お客様の要望や願望を叶えてあげられてないということです。
実際に髪が傷んでいた場合パーマをお断りすることもあるでしょう。
また日々コテを使って熱を与えることも髪への負担になるため、やめて頂けるように声をかけることもあるでしょう。
美容師さんは変なことを言っている訳では無くお客様の髪を大切にしているからこそこう助言したのでしょう。
しかしお客様の髪だけしか見えてないのです。
お客様にとっては髪を大切にしてくれる美容師はとても嬉しいかもしれません。
しかしながら自身の要望や願望を叶えてくれた上で髪を大切にしてくれる美容師を求めているのです。
「今日パーマかけに来たのに断られたし他の美容室でパーマかけようかな?」
なんてことを考えているかもしれません。
美容師は自分の意見を押し通してこれがお客様のためだから、髪を綺麗にするために絶対必要だから!と自我を押し付けてしまうと失客する可能性をはらんでいます。
僕の場合でしたらどう答えた考えてみました。
お客様「朝巻くのが大変だからパーマをかけたいんだけどお願い出来ますか?」
荒木
①「かしこまりました。しかし今の髪の状態ですとパーマによって髪への負担が大きくなるかもしれません。」
②「比較的優しくかかりますが普段巻かなくてもいいような状態になるコスメ系のパーマでしたらかけられるのですがいかがでしょうか?」
③「それか毛先の傷んでいる部分を少し切らせてもらえればしっかりとしたカールをつけられるパーマもございますがいかがでしょうか?」
このようにまず①で今の髪の状態をお伝えをした上で②のように優しくかかるパーマの提案。
しかしこれだけだと納得いかない場合もあるので③のように切らせてもらえればかけられるという提案をしていきます。
どれが正解とかではなくお客様に合わせつつこちらでも最大の譲歩をしてお客様主体で話を進めていきます。
お客様との話合いには勝ちには行かずにお客様に勝たせてあげられるように話が出来たらお客様はまた来てくれるでしょう。
お客様を勝たせよう!
美容師としての勝負②前の美容師編
今まで何回も担当させて頂いたお客様では無く初めて担当させて頂くお客様を新規のお客様と呼びます。
その新規のお客様の時には絶対に負けられない戦いがあります。
それはそのお客様の前に担当した美容師との戦いです!
お客様が初めて訪れるということは以前の美容室や美容師が気に入らなかったから新しいところを探しに来たという理由があります。(引越しや転勤などやむを得ない場合を除く)
前回の担当者よりも気に入ってもらわないとまた自分の所へ来てもらえません。
1度来てくださったお客様の最後の美容師になれるように最大限の努力をその限られた時間の中でする必要があるのです。
持てる技術や気遣いなどが伝わりお客様に『あっ、なんかいいなこの人』と思われることが1番大切なんです。
いけないことは失敗を恐れてただただ普通に良かったりするだけだと何も印象に残りません。印象に残らないということはお客様から忘れ去られる場合があります。
技術なり接客なり自分の持っているアイデンティティを出してお客様のオンリーワンになりましょう!
前の美容師には負けるな!
美容師としての勝負③自分自身編
美容師として負けられない戦いとは常に自分自身との戦いではないでしょうか。
良く「昨日よりも今日、また明日の自分」みたいに日々成長していくということが理想的だと思いますがそう上手くいかないのもまた人生でありますね。
自分自身に負けないように美容師としての必要なスキルはどのようなものがあるか。
- 技術力
- 接客力
- 人間力
- 分析力
- 読解力
- 感性
他にもありますが大まかにこのようなものがあります。
技術力
これはもちろんカットやパーマなどのデザインのクオリティの目安です。
カットの場合はより綺麗に、より早く切れるようになること。
スタイルの幅を増やすこと。お客様に似合うスタイルをつくるのには必要不可欠です。
今までの経験だけではなくこれから先もいつまでも磨かなくては行けないスキルであります。
接客力
お客様に対しての気遣いやサービス、挨拶などのスキルである。
返事や挨拶などどんなに眠くてもどんなに辛くてもいつも同じように素敵にできる力を持たなくてはなりません。
人によっては技術よりも大切な部分かもしれませんね。
人間力
美容師としてまた人として大切な部分である。
自分のことよりも先に相手のことを考える。
自分がされて嫌なことは相手にしない。
器を大きく怒らず許す心を持ち合わせられるその人ならではの人間力。
1番目に見えない部分であり1番大切な部分であると思います。
日々成長して昨日の自分に勝ちたいものです。
分析力
様々物事を数値化して捉えて自分の強みと弱みを把握し改善していく能力です。
カラーやパーマの比率、お客様の単価、リピート率などの数値を分析していくことにより自分が今何をすべきかこれからより成長するための道筋を立てる行為でもあります。
読解力
美容師はコミュニケーション力が必要です。
お客様と美容師がお互い何を伝えたいか、またどうなりたいかを理解し共有することでお客様のなりたいイメージが作れます。
お客様は髪のプロではありませんので『こうなりたい』とイメージはあっても美容師側に上手く伝えられない事が多いです。それを上手く汲み取ることができコミュニケーションを円滑にするために読解力もとても大切なスキルとなります。
感性
英語で言うところの『センス』にあたる部分でしょうか。
お客様に対して提供するデザインもセンスがないとダサいデザインになってしまいます。言葉だけでは伝わりにくいこの感性という部分ですが鍛えることもできます。
美術館へ行ったりオシャレなものを見たりしてこれはいいのか悪いのか見極めていくと自然と感性も磨かれます。
おしゃれなことやトレンドなどを勉強して感性を磨きましょうね。
このようにたくさんのスキルが美容師には必要であり常に勉強、常に修行であるのです。
昨日よりも今日の自分。そして明日はより素敵な自分自身になれるよう自分との戦いは続きます。
まとめ
美容師は日頃から戦っています。
それは相手がお客様なのか前の美容師なのかそれとも自分自身なのか。
美容師に限らず人はそうなのかもしれません。
お客様の前では負けを選択することもあったり、時には絶対に負けられない勝負だったりもします。
決して勝てなかったからといって諦めないでください。勝てるチャンスはこれからもあります。
僕も何度も負け続けて来ましたがそれでもここでは輝けるという舞台は必ずあります。
あなたが人生の勝利者になれますように。